『マモー・ミモー野望のテーマ』ミュージシャンの嫁的にアリやナシや

「9 9/9」 TOKYO No.1 SOUL SET

 帰宅中の京成線社内。吊革に摑まって京ポンで他人のブログにコメント入れてたら、前に坐っていた気の弱そうなサラリーマンのおじさんが、不幸にもうっかり僕の足に自分の足をぶつけて(解り易くいうとコツンと軽く蹴ったような感じ)しまいました。衝撃とは呼べない程に、本当に微かな衝撃が神経を伝って脳に達するよりも速く、僕を二度見したおじさんは超反応マッハで謝ってきました。

 そうです。今日は新調したスーツで出勤したのでした。構成員風のルーズなシルエットではなく、割と細身のデザイン(パンツもノータックですし)であるにも拘らず、黒と臙脂のストライプで8釦3掛のダブルブレストなんて、普通のサラリーマンから視ればかなり惡趣味っぽいですから、ひょっとしたら堅気じゃないと思われてしまったのかも知れません。ドゥエ・ボットーニタイプで濃紺ステッチの入った黒シャツにガンメタっぽい光沢のあるタイを締めてましたし。いえ、でもこの場合はこれで正解なんです(シルバーアクセをジャラジャラしてたのはどうだかわかりませんが)。

「おぉ!カッチョイイっスねぇ。また(ここがポイント)作ったの?ゴルチエ?あぁ、っポイねぇ。お、ネクタイもじゃん。シャツも?あ、シャツは違うんだぁ。でもポイねぇ。袖も切羽かぁ。裏地見せてよ。へぇ、裏はボーダーなんだぁ。高いの?いくら?・・・へぇ、思ったより(ここもポイント)安いんスねぇ。」

と、前の部署で担当してたブランドのデザイン室のS山クンも褒めてくれましたので間違いないと思います。因みにこのあとちょっと仕事サボってS山クンのデスクでパリコレの雑誌(全部英語でした)みせてもらいました。今回のパリコレではゴルチエが再評価されたようで3番目に載ってました。逆にガリアーノディオールは真ん中あたりまで下がってしまってましたです。関係ないですがジョン・ガリアーノと聞くといつも脳内で津軽じょんがら節に誤変換されてしまいます。何かの暗示ですかね。

 おじさんは何かいいながら(僕はイヤホンで音楽を聴いていたので全然聴きとれませんでした)頭を下げています。が、正直僕もどうリアクションしていいやら解らないので、思い切って(足が当たったことすら)気がついてないフリを続けました。人に気を遣うのは疲れますね。


〜名盤の思ひで〜
「9 9/9」 TOKYO No.1 SOUL SET (Tokyo No.1 Soul Set)
BIKKE(Vo?)
渡辺俊美(Gt & Vo)
川辺ヒロシ(Turntable)
 このグループについては、単にJ-HIP HOPの草分みたいな言い方はして欲しくない、と思っている。確かに、「young guys, gifted and slack !」の頃はそんな感じではある(といってもこのアルバムだってなかなか名盤だ)が、初期メンバーのDJ DRAGON(あろうことか今や小室の弟子・・・)の脱退後はBIKKEのスタイルも全編英語”詞”から日本語”詩”へ昇華することになる。

 BIKKEは歌わないし、ラップとも違う。独特で魅力的。如いて言うならポエトリー・リーディングかな。実際、現在の彼は詩人でもある訳だし。また、BIKKEの朗読と対を成す渡辺俊美のヴォーカルも切なくて素晴らしいし、彼らを支える川辺の渋いプレイも聴き所だと思う。このアルバムでは6曲目の”Sunday”と9曲目の”夜明け前”が最高に素敵。以前、非公開でネットラジオやってた頃に明け方になると”夜明け前”かけて、締めで”Sunday”をかけてました、私。

 現在は無期限の活動休止(事実上の解散)中だが、各人のソロ活動もやっているようだ。個人的にはBIKKE高野寛と創めたユニット”ナタリー・ワイズ”よりも、渡辺氏が当時の有望な無名新人を集めてコンピレーション・アルバムをリリースしたことの意義を一番評価したい。そこには、PE'Zの曲が。

 因みに渡辺俊美氏の奥さんはタレントのちはる。ミモーです。息子さんの名前は登生とうい。上記のコンピ盤の1曲目で♪登って生き〜る〜♪と唄う、愛すべき親バカでもあります。