出来る出来ないではありません、それはやらねばならぬ事。

〜世の中をナナメに視るための公開練習〜
大量通信に追加課金 総務省懇談会、ネット混雑回避へ容認
 つーか、官公庁のパソコンのプレインストールソフトからウィニーを外すのが先だろ(笑)


中国産ピーマンから基準値超える殺虫剤、厚労省が検査命令
 つい先日、米国で中国産歯磨き粉から有害物質、なんてのがあった矢先。殺虫剤からピーマン出てきたってんならそりゃ驚くけど、この程度は向こうの仕様だと思ってるから何を今更って感じ。んで、歯磨き粉ン時は確か
「ウチの法律じゃこんなの有害物質扱いじゃないから」
ぐらいのことを言ってたと記憶してるし。それならそれでいいだろう。狂牛病と一緒で、買い手(日本)の定めた基準に達していないという理由で即刻輸入やめりゃいいだけのハナシだ。ただ、こういうのが他国からの輸入物全てに広がっちゃうと問題は変わってきそうだけどね。自給率低いじゃん、日本。

 かの名作『ガサラキ』に於いて、クーデターを成功させて日本の実権を握った国学者西田啓先生は米国が起こした穀物モラトリアム(輸出一時停止措置)に対し、日本の全資産をホットマネーにして投入して逆に米国を経済的に崩壊させようとする(ヤヴァいと気づいて米国が態度を軟化させなければ間違いなく完遂していた筈)という、およそロボットアニメとは思えない展開があった。
「それは、アメリカが今為そうとしている事に対する反撃の矢とするため。斜陽の大国、アメリカをして今一度覇権国家にのしあげようとする最終的な手段に対抗するために。これまでアメリカは自国の通商政策のスケープ・ゴートとして繰返し日本を利用してきました。日本もまた唯々諾々とアメリカの政策に従ってきました。しかし、今度だけは座視できない。食料と言う最終的な手段に訴えてきた今度だけは!」
勿論これをやったら、日本だって経済的に崩壊する。西田さんがそれに気づかぬ筈もないし、そもそも日本経済の破綻も西田さんの再生計画のうちだったのだ。
「経済の崩壊、元より望むところです。その為に私達は準備を進めてきたのです。三年の間、国民を貧しさに耐えさせる為に。」
 つまり、日本も米国も経済的に崩壊するとして、(再生までの3年を)米国は1年も持たないだろうが、先生は日本国民を3年間飢えや貧困に耐えさせる用意があると言うのだ。
「今我々はたとえ、国民に貧しさを強いるとしても、三年の間は凌ぎきる自信があります。しかし、同じ三年間の破滅的な経済不況をアメリカは耐える事ができるでしょうか」
これは、単に「実は備蓄があったのだよ!」とかそういう物質的・表層的な救済ではなく、精神的・観念的なもの。つまり、貧しさを貧しさとして受け容れさせる・・・いや、それがかつての“極々普通”であったという再認識をさせることだったのだ。
「確かに、私の個人的な目的はもっと別のところにあります。それは、この国を貧しくすること。この二百年間、人はただひたすら発展の幻想に踊らされてきました。しかし、宴は終わったのです。今我々が為さねばならぬのは、人が歴史を刻み始めて初めて、目の前の坂を胸を張って堂々と下ること!」
当時この発想にはただただ驚かされた。国家を物質的にダウングレードすることで国民性をアップグレードさせるなんて考えつかねぇだろ、普通。

 腐った民主主義国家と清き独裁国家による戦争という構図で壮大なドラマを築いた『銀河英雄伝説』という名作があるが、ある部分では『ガサラキ』も負けてねぇよなと思わせてくれる(実際はどっちも名作なので勝った負けたじゃないんだけどね)。それは、西田さんの考える“独裁”の独自性にある。
「この国で真に経世済民思想に基づく改革が行われたのは武士階級によってのみ。」
というワケで西田さんは特自(特務自衛隊。この物語世界での自衛隊)の一部の幹部を同士に迎えるのだが、
「必要悪と言えども制限無き権力は必ずや腐敗の道へと繋がる。人はそれと知らずに、何時の間にか権力に身を委ねてしまうもの。」
と武力と権力の集中には慎重であり、そこに賛同できる特自の人間しか同士にはしていないところが唯の独裁者とは違う。
「権力の集中は三年。三年の間に理念と強固な意志に基づく体制を作り、後は国民の審判に委ねる。」
これが何を指すのかは、残念ながら西田さん本人の口からは語られなかった。態度を軟化した米国大統領との交渉を成功させた後で、
「戦いはそれを始めるよりも、終わらせる方がはるかに難しい。皆さんその事を今一度思い起こしていただきたい。」
暫し経って、広川中佐がその言葉の意味に気付いた時にはもう・・・西田さんはその全ての責を負ったのだ。残された特自の若き幹部、広川と速川両中佐は語る。
「事を収めるのは、始めるより遥かに難しい。西田さんが死の間際に記されたものです。」
「特自の解体!?」
「そうです、西田さんが究極において目指したもの。この地上から国権の発動たる軍事力を抹消する。それも、この日本が先んじてやる!そしてそれは、これから訪れるであろう長い戦い、真の戦いを貫く意志を示したものでもある。」

 このように『ガサラキ』は西田啓先生周辺の言動を読み解くだけでも充分面白い作品である。んで、西田啓語録として発言をまとめておられる方がいらっしゃったので一応ご紹介。


【追記】新ガンダムって戦争を無くすために戦う話って聞いたけど・・・少なくともコレぐらいは軽く超えちゃってくれるんだよね?(意地惡いかw)