何度でも言おう、高橋良輔作品に駄作無し

幕末機関説 いろはにほへと
第24話 「色は匂へど」
 檜山修之(今作では土方歳三役)オンステージ。常に睡魔と闘っているかのような表情の檜山さんだが、その熱血声たるや最強。『勇者王 ガオガイガー』の獅子王 凱のような、仄かなインテリジェンス漂う熱血漢とか素晴らく演じきってくれたことで、ボクの中での「熱血=馬鹿」という先入観を取り去ってくれた功労者。また一方では『ガサラキ』豪和ユウシロウのように、寡黙ながら熱血(だとオレは思う)という何気に難しい役をこなす演技力の方も(もっと)評価されなければならない。


第25話 「五稜郭浮上す」
 冷静に考えるとかなりムチャなことになってる筈なんだけど、自然と受け容れられてしまう不思議。


最終話 「海の向こうへ」
 「戦いは、それを始めるよりも終わらせる方が遥かに難しい。」とは『ガサラキ』に於ける西田啓先生のお言葉だが、こと戦に限らず幕引きというのは本当に難しい、アニメ然り。物語終盤に向けて怒濤の展開になるような作品程、ラストの描き方・・・つまり、物語の着地点以上に着地の仕方そのものを問われるからだ。

 果たして、高橋良輔という人はその難題を当然のようにクリアしてしまう。超一流といえど、決して容易ならざることである筈なのに、それを至極当然のように。だから観終わって、目頭を押さえつつ「またよいものを観た」とボクはこれまた当然のように思ってしまう、贅沢。

 だが、少しだけ贅沢を制限されることがある。ネタバレになってしまうのでまだ深くは書けないこと。今は高橋信者として伝道するのみ。ほとぼりが冷めたら(何ヶ月後だろうなぁw)、いつか。それにしても、どうして高橋監督の作品は時代が求める核心(或いは世情の中で欠落した普遍性)を先回りして提示・提起してしまうのだろう、しかもさらっと。

 因みにこの作品はこんなナレーションで始まる。

男が武士おとことして生き、その生命いのちと信念を一振りの刀に懸けて戦った最後の時代----幕末。

 本当によい作品です。