実際は呑まない

 久しぶりに『酔拳』鑑賞。ゴールデン洋画劇場版。ヴォデオのデジ化保存をやっておかなければ、と思うに至った原動力的作品(の1つ)である。数年ぶりの鑑賞だったが、累計でかなりの回数観てるので、ポイントポイントは結構覚えてる。個人的には
「10発だけはじっとガマンの子」

「そうか、無影拳か!」
が好き。

 日本人が抱く“老師”という存在のイメージを決定付けたのもこの作品である。それくらい強烈なヴィジュアル。ただ、皆このじいさんの名前となると覚えてなかったりすることが多い。蘇 化子そ かしが役名で、演じるは袁小田ユアン・シャオティエン。今調べるとユエン・シャオティエンという表記が殆どだが、当時の放送ではユアン・シャオティエンだった。吹き替えは小松方正氏がやってた。因みにジャッキー作品ではないが袁小田は『少林寺三十六房』では蝋燭の炎を目で追う修行をする房を預かる僧の役だった・・・と思う。

 そうそう、次課長河本氏の“香港映画に出てくる〜”なモノマネの元ネタはまさにココから。物凄い出っ歯の人が腕をぐるぐる回してから殴ろうとしてます。そんな感じで、この出っ歯の人だけを河本氏は注目してるんだろうなぁと思える。また、出っ歯の人の
「そうは酢豚の天津丼だ!」
という広川チックな科白(こういうダジャレっぽいのがトレンドだった)にインスパイアされて生まれたのがあの
「オメェに食わせるタンメンはねぇッ!」
だとウィキペディアに書いてあった。一応補足しておくと、実際は
「そそ、そうは酢豚の天津丼だコノヤロ、チクショウ!やっちまぇ!」
と言っている。

 酔拳の魅力は、劇中に登場する様々な流派というか武術である。

燕青拳(?):叔母さんが使っていた。何気にこの叔母さんが一番強いと思ってるんだが。

洪家拳(?):飛鴻(ジャッキー)の父である黄麒英が使ってるということは洪家拳なんじゃないかなぁと思った。南拳の特徴(重心低目で手技多目)出てたし。

酔八仙拳:これが酔拳。八人の仙人の型で形成されている。飛鴻は女性仙人の型なんてやってられっかと、何仙姑を真面目にやらなかったのでピンチになったり、そこからオリジナルを生み出すきっかけになったりと重要な型だったりする。バーチャで酔拳のじいさんが妙に“しなをつく”ような技があるが、それが何仙姑の中の技である。

無影拳:殺し屋の鉄心が使用。暗黒社会の中で生まれた暗殺系の拳法と聞いたことがあるが、どうもイマイチ実態が掴めない。劇中で無影拳と言われているのは実際の無影拳とは違って映画オリジナルだとか諸説あって、色々調べるにつれ袋小路に入ってしまう。それどころか、飛鴻の無影脚(飛鴻は実在した人物で、影が出来ないほど速い蹴りだったとか言われてて、それが無影脚というと聞いたことがある。劇中では出てこない話だが)と混同してしまいがちで益々混乱する。

棒術:“棒術のワン”が使用。棒術にも流派とか色々あるんだろうが、そのへんボクは全くわからない。ただ、棒術と素手の対決シーンが結構興味深いことは間違いない。

 なんだかんだ言って、最大の魅力は道場のヘッポコ師範代役としてボクの大好きな石天ディーン・セキが出てるコト、に尽きる。弟子を小突く動きがおかしくて仕方ない。このテのコミカルな演技はこの人の独壇場である。清川元夢氏の吹き替えも実に素晴らしい。清川氏が本領を発揮するのも実はコミカル系だったりするのだ。

酔拳 [DVD]

酔拳 [DVD]