フォークボールよりサイコボール

 『立喰師列伝』鑑賞。押井色が前面に出た作品は微妙、というジンクスを吹き飛ばす(これまでとはまた別の)微妙さ。結局微妙なんだけど。間違いなく一般受けはしないと思うが個人的には嫌いじゃないなこのテイスト。押井監督と交流のある人々が実写で登場するというというのも門戸を狭めてしまっている要因だが、そもそも“そういう作品”を作るという前提で制作されているので、少なくともこの部分に対して否定的な意見は言うだけ野暮。個人的にはこの部分が一番嬉しかったりしてる。特に、監察医の榊原芳子先生役で榊原良子さんが(写真ながら)出てきたのには驚かされた。これまで語られてこなかった系統の(半分ぐらい架空の)戦後史、というコンセプトも面白いと思った。ただ、スチール写真のデジタル処理云々は当世風のテクノロジーならではだと思うが、演出としてのテイストは『空飛ぶモンティ・パイソン』シリーズでのテリー・ギリアムの不条理アニメを致死量にならないように希釈した感じでイマイチ斬新さは感じられなかった。モンティ・パイソン知らない人は「何だコレ!新しいッ!」とか驚くかも知れないけど。


 『イーオン・フラックス』鑑賞。シャーリーズ・セロンの美しさ以外に何がウリなんだ、この映画。世界観とか設定云々には元々期待はしてなかった。気持ちいいアクションさえ視れればそれでいいとしか思ってなかったのに、それすらなかった。アクションが出来ない役者さんばかりだったからなのか、それともアクションシーンの見せ方を知らない人が作ったからなのかは知らないが、アクションシーンのカット同士の繋ぎ方が違和感だらけだった。スピーディな流れが寸断されまくりというか。。。ジャッキー・チェン作品とかマトリックスを観て気持ちよいアクションの見せ方を勉強して欲しい。


 ということで、今日は昔のSNKのゲームミュージックについて。好きな順に書きます。

『怒』:兎に角ノリがいい曲多いです。KOFの怒チームのラルフとクラークを視て、思わず
「こんな人たちじゃなかった」
と言ってしまった記憶があります。ってか“怒チーム”っていうけどハイデルンとかレオナって怒に出てねぇじゃねぇかよ!

『怒号層圏』:ファミコンに移植された時は『怒Ⅱ DOGOSOKEN』というタイトルになってた。実際、『怒』の続編なのだが、束の間の休暇中だったラルフとクラークは異次元空間に迷い込んでしまい・・・って一寸、一寸一寸な設定にはド肝を抜かれた記憶がある。宇宙刑事シリーズだってもうちょっと違和感なく引き擦り込まれるもんだぜ。んで、『怒号層圏』は基盤が喋りまくる。
ラスボス(悪趣味な服を着た太ったおじさんにしか見えない):「我を倒すために選ばれた戦士達よ、倒せるものなら倒してみろ!うわぁっはっはっはっはっはっは!」
おじさん:「よくきた。しかしここでお前たちは終・わ・り・だ!」
マイキャラ:「よーし、いくぞう!」(吉幾三に聞こえる)
マイキャラ:「手ごわいぞ!」
敵:「ごぉあぁ」(多分中ボスか何かがやられる時の断末魔の声だと思うのだが、どう聴いてもゲップの音)
等、当時(1986年)としては本当によく喋ります。おじさんは変に抑揚がありすぎる台詞廻しだし、主人公たちは棒読みです。因みに、ゲームオーバーになると「もう一度チャンスをくれぇ!」とコンティニューを懇願されます。

『アテナ』:ライナーにも書いてあるんだけど、所謂クラシック的な作曲理論で作られてる感じ。繊細な旋律の絡まり具合が素晴らしい。ボクはクラシック自体は嫌いだ。が、クラシック的なものを全否定しない理由はこういう音楽が存在しているからだ。

『TANK』:かなり地味なサウンドだがコンバット感ありまくりで好き。

『ASO』:これ作った方は玉木宏樹氏の影響を受けてると勝手に思ってます。だって途中が『大江戸捜査網』(時代劇音楽の最高峰・・・と俺は信じてる)っぽいんだもん。読み方は“エー・エス・オー”です、一応。当時SNK社内ですら“あそう”と呼ばれてたそうです。

サイコソルジャー』(番外):ファミコン版『アテナ』はカセットテープ同梱で発売されました。再生すると謎の女の子の声が・・・
「こんにちは。『アテナ』のファミコンカセットを買ってくれてどうもありがとう。ビクトリー国の王女として幻想界へ旅立ってワクワクドキドキの大冒険を続けたアテナ。キミは、どこまでアテナと一緒に旅ができたかな?・・・ところで、キミは『サイコソルジャー』というゲームを体験してくれたかな?知らない、っていうキミはぜひ挑戦してみてネ!なんと、このゲームでは、世界が屍愚魔シグマと呼ばれる怪物どもによって侵略されて、破壊されてしまうの!元の平和な世界を取り戻すためにアテナは超能力を持った戦士“麻宮アテナ”として再び登場します。それに、今度はとっても頼もしい助っ人がいるの!彼の名前は椎 拳崇しい けんすう。中国拳法の達人で、彼もアテナと同じ超能力の持ち主で、2人で力を合わせて屍愚魔に戦いを挑んでいくワケ!このゲームを既に体験した人は知ってると思うけど、アテナの歌が流れているの。それでは、体験した人もしてない人も、この、アテナとはまた一味違う、『サイコソルジャー』の歌とBGMの世界を味わって下さい!(と、いいながらバックでは『アテナ』のBGMが流れてるという怪現象w)」
で、間髪入れずに麻宮アテナの歌う「サイコソルジャー」が。まぁコレはほどほどにイイ曲なんだが、その後に入ってる「傷だらけのブルー・ムーン」(エンディングテーマとされながら、実際のゲームのエンディングでは前述の「サイコソルジャー」が流れているので、幻のエンディング曲扱い)は隠れ名曲なんス。

 余談だが、KOF94の時に曲だけリメイクされた「サイコソルジャー」は決して惡くないんだけど、どうしてもオリジナルと比べちゃうから、なんか違うよなぁって感じした。この時の麻宮アテナの声と歌は2代目となる福井玲子さんという大阪タレントビューロー所属(SNKとかカプコンの格ゲーの女性キャラの声を担当する人が多いところ。生駒治美さんが一番有名でしょうか)の声優さん(?)でした。ついでなんで以降の麻宮アテナ担当者でも(初代については、歌を歌ってる人と麻宮アテナの声の人は別。声はSNKの社員である“るしゃな”という方がやってます)。
3代目:長崎萌(そういやどこいっちゃったんでしょ、この娘)
4代目:弓雅枝(この人も大阪タレントビューロー所属)
5代目:さとう珠緒オーレンジャーで有名になったから?)
6代目:栗栖ゆきな(ビーファイターの人。このヘンは特撮系から採用?)
7代目:池澤春菜(KOF98からはこの人でフィックス状態らしい)

 で、このカセットの冒頭で喋ってたりサイコソルジャーの歌を歌ってたのが当時B級アイドルをされていた清水香織さん。この方、元マリナーズ佐々木投手の前妻だったりするんです。ってか、佐々木サマはアイドル好きなんやね。

立喰師列伝 通常版 [DVD]

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SNK・ゲーム・ミュージック

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