スケスケスー

 ボスキラーなどと云うものは、自分のデスクのPCモニタが“たまに”ボスの視界に入りそうになる環境にあってのみ(それなりに)有効なギミックである。

 ウチの部署のデスクの配置では、全く意味を為さないだろう。同チームの人間とは対面配置、つまり通用スペースを挟んで隣のチームの人間と背中合わせになっているのだから。他人のPCの画面を拝することなど造作も無い。ふと振り返ればいいだけだ。

 こうした場合にはどうしたらいいか、夕刻を待たずして早々と今日の仕事を片付けた私は考えた。そして閃いた。

 任意のウィンドウを透過させるソフトを使ってみる。透過率を最大の90%に設定すると、最前面でSleipnir 1.66が米帝の某動画置き場にアクセスしているにもかかわらず、傍目にはそれが判らない。つまり、ブラウザが思いっきり透けているので、後ろにあるエクセルや業務用ソフトの画面しか認識できない状態。

 問題があるとすれば、他人が視えないということは自分にだって視えないということ。当たり前といえば当たり前。しかし、自分と他人との決定的な意識の差が“ソレ”を埋める。

 そう、自分だけは、一見何も無いようで、そこにウィンドウが在ることを知っているのだ。“存在する”という事実を認識・自覚することで、幽かに視えてくるウィンドウ。学生の頃、生体モザイク解除機にならんとし、眼を細めてはエロヴィデオを凝視した修行の成果も少なからずあったかも知れんが。

 斯くして、誰にも気取られずに白昼堂々と数GBに及ぶファイル蒐集を敢行してみた次第。珍しくヒマだった日ならではの実験、というコトで。