「面白い」なんて陳腐な礼賛しか出来ない自分が嫌になるくらい面白い

和製ジョン・クリース(ズ)?

 帰宅して、どうにも週末迄我慢出来ず『空飛ぶモンティ・パイソン①』を二話(といっても基本的に単発のコントなんで物語性というのは無い)迄鑑賞。
「イタリア人のための初級イタリア語講座
「恐怖の殺人ジョーク」
「ネズミ虐待オルガン」
「結婚カウンセラー」
「おてんばビクトリア女王
「親子間階級闘争
このヘンが特にツボ。昔観て覚えてるネタも多数あったが、そういうの関係無しに笑える。只管にヴァカヴァカしくナンセンスでシュール、なのにどこか知性的。

「親子間階級闘争」なんか、普通のシリアスなドラマの1シーンのキャラ設定を逆転させただけなんだけど、演技力も作用してか、やたら面白い。
母「お父さん見て!ケンが帰って来たわ」
父「(ツバを吐き捨て)こんな時間に何の用だ」
子「うれしくないの?」
母「うれしいに決まってるじゃない」
父「黙れババァ! 俺にも舌はあるんだ ・・・すかした服だな それが今の流行かよ」
子「普通の背広だよ あとは作業着しかない」
母「炭鉱の仕事はどう?」
子「上々だよ 新式のタングステンカーバイド・ドリルを導入したんだよ」
母「まあステキ」
父「タングステンカーバイド・ドリルだ? それがどうしたってんだ?」
子「石炭を掘るんだよ」
父「石炭を掘る? 気取ったしゃべり方しやがって」
子「ごめんよ」
母「疲れてるのよ 明日、国立劇場で新作が上演されるの」
子「それは凄いね」
父「凄いねだと? お前に何がわかる? 早朝パリに発って − 昼ロンドンにトンボ帰り それから記者会見 テレビのインタビューに 夜は同性愛者と − 色情狂と麻薬中毒の問題に取り組む それを全部1日でだ お前にわかるか?」
母「怒鳴らないで」
父「都会が嫌いなんだろ ど田舎に行きやがって 何が炭坑労働者だ」
子「炭坑は立派な仕事です 父さんの頭が固いんだ!」
母「ケンやめて! 小説を書いた後で荒れてるのよ」
父「やるかバカ息子 どうした腰抜け!」
子「詩や小説で頭が腐ったんだ 高級ワインばかり飲んで 母さんが可哀想だ スターとのランチだのプレミア・ショウだの」
父「スターとのランチのどこが悪い? お前のディナーより豪華だ」
母「やめて」
(ここで急に父が自分の手を掴んで苦しみだす)
子「どうしたの?」
母「作家の職業病よ」
子「知らなかった」
母「内緒にしてたの」
父「大丈夫だ 奴を帰せ」
母「帰った方がいいわ ケン」
子「わかったよ」
父「これでいいんだ」
子「父さん 文化より埃にまみれた汗の方が大切だ」
父「出て行け この肉体労働者め!」
(息子 出て行く)
父「おい これは芝居になりそうだ」
母「そうね フランク きっと・・・時代を映すテーマがあるわ」

 下品に昼間から呑んだくれてる“どう視てもブルーカラー”の親父が実はホワイトで、そこに登場する“どう視てもホワイト”な息子がブルーという、ミスディレクションを誘発し受け手のヴィジュアルからの先入観を逆手に取ったコント。アイロニーとかサタイアとも違う、この独特さが堪らない。

 ってどうでもいいけど(このコントじゃないんだけど)若き日のジョン・クリース(ズ)がくりぃむしちゅー有田哲平氏に視えて仕方なかったりして。

空飛ぶモンティ・パイソン Vol.1 [DVD]

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