さりとて大人買いはやめられず

嶋田久作

 昨夜、手淫をしようとしてやおらパンツを下ろしたところ、白髪の陰毛を1本発見して思わず絶叫しそうになった、どうもボクです。

 大衆の目に触れる範囲の外見については、年甲斐のないファッションで老いを打ち払ってきた私だが、こうも“おっさん然”とした証拠を突きつけられては気分が萎える。実に暗澹とした気持ちで手淫に耽ったワケですよ、それでも。

 予備校生だった頃、ヤンマガのグラビアのオファーが来たらどうしようという根拠無き不安に駆られ、入浴前に鏡の前でセクシーポーズの研究をしていてケツ毛が生えていたコトに気づいて以来の衝撃。

 大人の階段上るとか、そういう牧歌的な気分じゃなかったですね。そのうち耳毛がモジャモジャ生えてきたり、加齢臭をぷんぷん発しまくったり、札束で頬を張ったり、ガウンとブランデーグラスと葉巻という出で立ちで虎の敷物の上の無駄にゴージャスな椅子に坐ってペルシャ猫を撫でながら地球征服を企んだり、フォースの暗黒面に身を委ねてしまったりといった、所謂“汚い大人”になっていくのはもはや時間の問題ではと半狂乱になりそうでした。大人になんかなりたくないやいッ!


都内某コンビニにて。
「お会計708円になります」
ボクは千円札と百円玉2枚と五円玉と一円玉3枚を出した。
「1,208円お預かりします」
そう言ってレジにお金を入れようとした店員は一円玉を一枚、カウンター内側に零した。その刹那、彼はバウンドしてあらぬ方向へ転がっていかぬよう、咄嗟に足で一円玉を踏み、何事もなかったかのように
「五百円のお返しです」
と言ってボクに五百円玉を手渡した。

 割と模範的で感じのいい店員だったが、それだけにフと考えてしまった。小売に於ける支払い上の金銭の所有権とレジでの接客マナーについて。

 この場合、客は品物に対し丁度の支払いをしていない。現に店員は「頂戴します」ではなく「お預かりします」と言っている。つまり、釣銭を渡すことを前提とした場合に於いて、支払われた貨幣の所有権は、釣銭を渡す迄は客にあるのではないだろうか、と。

 だとすると、客のモノを踏みつけるという行為は接客上この上なく非礼なのではないだろうか、と。勿論、これは飽く迄も“素朴な疑問”であり、そこで私が不快感を覚えたというワケではないコトは一応明らかにしておくとして。

 また、この場合はコンビニのレジであるというのも考慮する必要があるかも知れない。迅速にレジを廻していく(客を待たせない)必要もあるだろう。
「客の金を踏むとは何事だ」
と怒る偏屈(クレーマー?)よりも
「そんなの拾う前にさっさと釣りよこせ」
という客の方が圧倒的に多いだろうから、彼の対応は概ね正しかったのかも知れない。

 とはいえ、接客上の礼・非礼の判断権は常識的には客側にある以上、やはりケースバイケースなのかも知れない。仕事柄、ボクもたまにレジを打ったりすることがある。もしボクが、レジを打つ立場で今日のような局面に陥ったら的確に対処できるだろうかというと、頗る自信がない。瞬間的判断力が極端に欠落しているので。恐らくは、どちらの行動を取るべきかでパニクってフリーズしてしまい、結局
「何やってる!早くしろ!」
と叱責されるんじゃないか、と思う。法律上の金銭の主有権及び接客マナー上での正しい対処法について詳しい方がいれっしゃれば、是非教えて戴きたいと思っています。いやマジで。


〜ベーシストと渋俳優の因果関係〜
 元バンドマンの俳優さんの中でもベーシストって、決まって役者としても渋いですよね。故:いかりや長介氏はドリフターズで、岸部一徳氏はタイガースで、嶋田久作氏はタイムスリップ(ギターは佐野史郎氏)でそれぞれベースを弾いてらっしゃいました。う〜ん、何か因果関係があるのかしら。

 どうでもいいが嶋田氏だけがベースを弾くシーンのあるCMに出ていない(いかりや氏はビールか何かで、岸部氏は富士通FMVで)。そのうち視たいもんだ。


パラレルワールドへようこそ〜
 今更説明するまでもないが、パラレルワールドってのは今我々が存在している世界と並行して存在するもう1つの世界、ってヤツ(超簡単に言うとね)。SFなんかじゃもう手垢に塗れまくった古典的過ぎる概念ですが。

 んで、全くの異世界ってのもあるんだけど、大概はドラえもんの「もしもボックス」みたいな“ちょっとだけ違う”世界って感じ。ただ、こういうのって絵空事だって思ってる人、多くない?そんなコトないよ。パラレルワールドは実在するよ。

 よくあるのが寝てる間に丁度ベッドの辺りの空間が歪んでパラレルワールドに行ってしまってるパターン。んで、気づかないまま1日(或いは数日)過ごして、また知らないうちに元の世界に戻ってきてるという。

 些細なコトだけが違う世界。だから皆気づかない。ボクの個人的な研究で解った相違点を挙げてみますと、
ポップコーンの正一と正二が入れ替わってる
レツゴー三匹レッツゴー三匹
井上順が井上ジョンに、エルトン・ジョン(若い頃、クリムゾンのオーディションで落とされた人)がエルトン・順に
カレーはウンコ味に、ウンコはカレー味に
段田男(だんだ だん)氏が段田男(だん だだん)氏に

 ・・・こんな、世界。だから誰しもが気づかないままに元の世界へ還ってゆくのです。最近、こんな世界を体験したりしませんでしたか?