武道より武術、武術より古武術か

塩田剛三

 午後、中野。先週気になった腕時計(Pimp)を購入するために。ショップに入った私は心が揺らいだ。Pimpよりイカす時計が入荷していたからだ。EG EleeNo Graphicというヤツ。LEDのブロックの独特の配置により時刻を表示するタイプ。もうね、コレがめちゃめちゃかっこいいんですよ。(あとで調べたらこんな素敵な品揃えのネットショップを発見!うぉ、針のヤツ以外全部買いたいかもttp://www.seahope.com/)

 こっちを買おう、と思ったんですが、よくよくみたらベルトが気に入らない。ボクにしては珍しくその場で10分以上も悩んだ挙句、見送る。そのあとゲーム屋さんの前を通ったら先週売れてなくなってた『新明解 ナム語辞典』がまた入荷してた。価格はやはり21,000円。千載一遇なんですよ、市毛良枝もとい一期一会なんですよ。こちらは躊躇せず購入。状態は恐ろしく良かった、まさに新品同様。

 ここ一年以上はアマゾンとヤフオクのお世話になっていて全然行ってなかったリアルCD屋さんでお買い物でも。結構デカイ店だったが、俺が欲しいようなものは何一つ置いてなかった。デカきゃいいってモンじゃねぇんだよ、品揃えだよ品揃え。

 プラプラしてたら知らない間に出来ていたショップを発見。「SHOP MECANO」は小さな店舗ながらテクノ、エレポップがかなり揃っている店だった。感心したのはナゴム系のCDがやたら充実していたこと。デカきゃいいってモンじゃねぇんだよ、品揃えだよ品揃え、マジで。ここは欲しいものだらけだったが、ナム語辞典も買ってしまったので、我慢したかったが、ナゴムコレクションシリーズから懐かしの「マサ子さん」(イカ天で覚えてる人もいるかも)のベスト盤を買ってしまう。空手バカボンやケラのCDもあったが、これらはオリジナルを持っているのだ。ふふふ。

 あと、imotoroさんが最近ブログでP-MODELを紹介されていてボクも「美術館で会った人だろ』を聴き直したくなったので『In A Model Room』も購入。やっぱいい曲だわぁ。


グラップラー刃牙』42巻(最終巻)&外伝読了。なかなか面白かった。

 個人的には155cmの老人、渋川流柔術の渋川剛気が好み。そう、近代合気道の開祖・上芝盛平氏最強の直弟子にして養心館館長の塩田剛三氏がモデル(に違いない)。

 合気道について、素人がよく「(技を掛けられた方が)自分から倒れてるじゃん」とか好き勝手なコト言うが、一寸違う。例えば腕を取られた場合、自分から倒れでもしなければ関節がイってしまうように相手の動きを制御しているのである。嘘だと思うなら実際にヤられてみたらいい。ボクは一度道場に行って「あ、無理!」って速攻で辞めたんですが。

 塩田先生は、日々金魚鉢を叩いては一瞬で向きを変える金魚の動作を観察していたらしい。つまり、どうやったら一瞬にして動作を完結・変貌させられるか、という研究である。瞬間的動作は林崎流抜刀術を初めとする古武術の本質といっても過言ではないだろう。

 貴方がもし巨人ファンならば(私、野球は門外漢)、その一旦を眼にしている筈である。2002年のペナントレース防御率のタイトルを取り、復活の兆しをみせた桑田投手。その投球フォーム改造の指導にあたったのは古武術研究家の甲野善紀氏。氏は古武術特有の身体を捻らないでパワーを出す動きを伝授したそうだ。

 また、古武術独特の歩行法としては“なんば”と呼ばれる、やはり身体を捻らない歩き方があり、陸上の末次選手が走法に採り入れたことでも有名。これを指導したのもやはり甲野氏らしい。

 話を戻す。一般にはか弱い女性のための護身術というイメージが大きい合気道故に誤解もまた大きいのだろう。なら、柔道ではどうだろう?

 柔道といえば「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」と称された木村政彦氏が有名だが(そんな木村も阿部謙四郎には勝てなかったらしい。余談ですが)、論旨がずれるのでここでは三船久蔵氏について触れることとする。

 俗に「空気投げ」と呼ばれている技で、正式名称(?)は隅落としという。三船久蔵十段が編み出した神技である。ヒョイと動いただけで大の男がスコーンと投げられてしまう。俄かには信じ難いが、実話であり、種も仕掛けもない。

 某解説HPによれば『相手の重心移動を利用して足腰には全く触れずに体のさばき・移動だけで』投げるのだそうで。文字にするとナンとも味気ないが、実際に映像を観たらオシッコ漏れそうになるよ、いやマジで。

 このように、“達人”とか“神様”と呼ばれる人たちの技は人智を超えた部分があるので、我々ド素人がいざ目の当たりにすると逆に“嘘っぽく”視えてしまうのだろう。