遅く起きた休日は

血と骨

 夕方まで寝てた。体調も悪くなかったので洗濯等の雑事をさっさと済ませ、この作品と対峙してみる気になった次第。


血と骨
 予備知識らしい予備知識もなく(暴力シーンが凄いらしい、程度。原作とか知らん)の鑑賞。“役者・ビートたけし”と“暴力”というキーワードだけでは期待したようなものは得られない、ということがよく解った。やはり監督も北野武でなくては。

 やはり、監督・北野武×役者・ビートたけしというコンビ(?)が紡ぎ出す暴力の見せ方というのは特異なんだろう。本作中、部屋の中で暴れ回るシーンも寺内貫太郎一家エスカレートさせた程度にしか思えず。『その男、凶暴につき』のカメラ長回しでチンピラの頬を張り続けるビートたけしのような、観ていて“もう止めてやれよ”と思ってしまうようなシーンが無かったのは残念。

 崔洋一という監督を否定したいのではない。夕食がカレーだとばかり思っていたらハンバーグを出されたような感じ、といったら伝わるだろうか。勿論、ハンバーグだって決して嫌いじゃない前提で。悪くない。悪くないんだろうけど、やっぱ(勝手に、とはいえ)期待してたものと違うものを観せられると多少なりともテンションは下がるものだ。

 細かい部分では、金俊平(ビートたけし)の
「ションベンは一日二、三回。ウンコは一回くらいや」
という科白(どういうシチュエーションなのかはネタバレなんで書かないが)に脱力。キャラ的に“ウンコ”ではなく“糞”と言わせて欲しかった。

 濱田マリのオッパイが観れたのは予想外だったが、だからといって別段嬉しさもなく。すっかり女優になっちゃったなぁという感じくらいか。モダンチョキチョキズの頃が懐かしい。「恋の山手線」「新・オバケのQ太郎」「ジャングル日和」とか聴き直してみたりして。

 崔監督が最も描きたかったのは何だったのか。ボクは豚の屠殺(近年は放送禁止用語らしいが他に適した言葉が浮かばないので敢えて書いておく)シーンにその全てが凝縮されていた気がした。

 まぁ、なんだかんだ言っても観終わったら結構疲労感の残る作品であったことには間違いないが、何を考えてるか解らない主人公(ラスト近くとか)というのは観ていて困る。観終わって嫌な後味を残すという程でもないところが哀しい。『地獄』『鬼畜』『十戒のモスキート』『さらば箱舟』等、ガキの頃に観た日本映画は凄まじく強烈だった。