出したら負けよ

大西浩仁

 夕方は仕事の関係で六本木に行ってました、どうもボクです。目的地が微妙にわかんなかったので課長に電話。
「すいません、今ギロッポンの駅なんスけど、場所がよくわかんなくて」
「どっち方面にいるの?」
「ザギンからナカメ方面の地下鉄に乗ってきまして、今ヒルズ側です」
「逆や」
こんなベタな単語を発する勇気などなく、極めて普通に“六本木”“銀座”“中目黒”“六本木ヒルズ”としか言えないボクでした。だって、恥ずかしいんだもん。


 帰宅途中、ラーメン屋にて夕食をば。最初に食券を購入するスタイルの店なのだが、ボタンを押す時の手の進入角が不自然だったようで、押そうと思ったメニュー(とんこつラーメン)の斜め下のボタン(炙り焼きチャーシューメン)をプッシュ。久々にきたな。

 元々食への興味が薄いので、常に決まったメニューの枠から逸脱できない私。こうした些細なアクシデントは神の見えざる手の仕業ということにしている。たまにゃ違うモン喰えよ、と。なのでそのままその食券を店員に渡す。

 麺が、入ってない。食券のボタンをよく視たら、“麺”じゃなくて“丼”って書いてあった。これも神のなせる業か。お陰で意外性のある夕食になった。不味くなかったので、満足。

 最寄り駅到着。駅脇のコンビニで買い物を済ませ、店を出て数歩の後、強烈な便意。本能的にヤヴァさを感じる。未曾有の大災害が起こってしまう予感。そぐそこが駅なんだからそこのトイレに行けばいいじゃん、定期もあるし。なんてのは冷静なアタマでしか考えつかない妙案であって、醜く歪まんとする表情を必死で堪えているような極限状態ではまず不可能。

部屋までもつか?いや、もたせるしかないんだ気力で!

 流れるヘンな汗を三沢よろしく人差し指で飛ばしつつ、ロス五輪でのアンデルセン選手ばりにたどたどしい歩みで部屋を目指す。金もいらなきゃ女もいらぬ、あたしゃも少し背が欲しい・・・は玉川カルテットか。なんだかよく解らないがそんな心境、背もいらんが30を過ぎてウ○コだけは漏らしたくない。小市民のささやかな願いじゃないか。

 気を逸らそうとすればする程、逆効果。興味ないガイジンの名前とかを考えようと思ったが、フランソワーズ・モレシャン(漏れ)とかゲーリー・オブライト(下痢)とかベン・アフレック(便、溢れ)とか妙に繋がっているモノばかりが脳裏を掠める。

渡辺美里の代表曲なんだっけ?
♪D・A・P・P・U・N 糞したっていいじゃない♪
違うな、近いけど違うな。

森口とか森脇が出てた番組なんだっけ?
『糞がMORIMORI』
なかんずく、違うな。

 そうこうしてるうちに、今度は脳内で天使のカツオくんと悪魔のカツオくん、登場。
「逆に漏らしたらオイシイじゃないか」
「そこまでして取る笑いじゃない。大体、“逆に”ってなんだよ」
ってか何で俺自身の化身じゃなくてカツオなんだよ。って脳内ツッコミをした瞬間にカツオが中村嘉葎雄に。『That’s カンニング史上最大の作戦?』観てませんごめんなさい。

しょうもないコトを考えながらやっと帰宅。漏れる寸前だった、いやマジで。

大人道とは、ウ○コを我慢することとみつけたり。


 天下分け目の9・11なんだそうだ。何をいっとるか。分け目といったら昔から7・3とか5・5と決まっておる。軍事関係に精通している場合は例外的に9・1が許される程度。9・11って要は4.5・5.5分けって意味だろ。ちゅうとはんぱやな〜(by 大西浩仁 from ちゃらんぽらん)。