職業病と趣味の病

恐竜戦車

 出張先の名古屋にて、見知らぬ番号より着信。宅急便の配達の方だった。以前、『たのみこむ』で商品化希望の一票を投じてたらいつの間にか実現してた『Mr.BOO DVD-BOX 初回限定生産』(http://d.hatena.ne.jp/STARLESS/20050520)がやっと発売になったのだ。残念、今日は受け取れぬ。帰りが遅くなる可能性があるし、土曜も朝からフラっと出かける可能性がある。仕方ないので日曜に再配達して貰うことに。嗚呼、ついてねぇ。


 昨日紹介した「脱オタクファッションガイド」なるサイトにはHOMEが存在していた。そこを読んでやっと意味が解った。“脱ヲタ”のためのファッションガイドではなく、脱“ヲタファッション”ガイドだったのだ。つまり、
「ヲタクをやめたんだけど、今更もうファッションのこととかよく解んないから手っ取り早く教えてくれねぇかな」
という人のためのものではなくて
「外見だけはヲタ臭さを隠したい」
というヲタに石ころぼうし的ファッションを押し付けるという非道なコンセプトだったのだ。

 冗談じゃないですよ。ヲタクは素晴らしいライフスタイルなんですよ。求道者なんですよ、粋人なんですよ、夢追い人なんですよ(但し、ボクが思うヲタ像ってのは、現実逃避の引篭りみたいなダークサイドじゃなくて真剣に好きなモノと向き合うってコトですけどね)。

 あの忌々しき有害図書騒動を思い出して欲しい。(もしかしたら)異常性犯罪者にそういうモノの愛好家が多いのかも知れないが、少なくともそういうモノの愛好家が異常性犯罪者であるということでは決してない筈だ。

(確かに)一般論でダサいとされるファッションをしている人間にヲタは多いかも知れない。しかし、“ヲタだから”ダサいというのはいくらなんでも暴論だ。

 ヲタ度を高めるというのは即ち総合的判断力を高めるという修練なんですよ。ヲタとして磨いたセンスは転用・発想の仕方次第では別ジャンル(ここではファッション)でもそれなりに通用するんですよ。

ガンプラを改造してみたんだけど、見てくれよ」
そう言って彼が自信満々に見せてくれたのが、上半身はガンダムで下半身がゾックだったら
「ダッセー!おめぇ、センスねぇなぁ、おい」
って言うでしょ、フツー。ファッションに於ける、一般的にやっちゃいけないコーディネイトってのも要はこういうコトなんです。審美眼とか暗黙のルールの基準がヲタ界と一寸違うだけ。本質なんてのは皆同じですから。

 また、一見合わないモノ同士でコーディネイトさせつつ、“アリ”を引き出すところだって全く同じです。ザクタンクとか恐竜戦車(これはウルトラセブンだけど)は寧ろ格好いい部類でしょ。

 穴の開いたジーパンのお洒落と貧乏臭さの違いが解らないって人、実際知り合いにも居るんですけど。でも彼だって汚し塗装を施したプラモと汚れたプラモの違いはキチンと区別がつくワケですよ。視りゃ判るだろ、って。本質的にはそれと全く同じですよね。どの部分にどれ位のどういう穴が開いてるか、その判断基準が無いダケなんですよ。

 昨今のガチャポンフィギュアって200円とは思えないデキですよね。ボクが小学生だった頃に300円とか700円出して買ってたガンプラより(大きさはさて置いて)全然完成度が高い。これで充分コレクトするだけの価値はあると思います。しかし、その一方で何万円もする有名原型師ガレージキットじゃなきゃ満足できないって人も居ますよね。

 興味の無い人から視たらどっちもただの人形。こんなの、個人の満足度の差です。でもそうしたガレキが高い理由は納得できるでしょ。そう、前者がユニクロなら後者は有名デザイナーズブランドです。ガチャポンをヴァカにするヲタなんてヲタ度低すぎだと思いませんか?この価格でこのクオリティを実現する凄さがワカランやつぁヲタなんてやめちまえって思うのが立派なヲタってモンです。

 これと同じ観点でユニクロを評価するのがボクら業界人。ただ、ガレキまでは手が出せないけどもうガチャポンじゃ満足できなくなっちゃったからマスターグレード買っちゃうんだよね、ってのは個人の好みということで。

 ブランドのカラクリについて。同じ生地を同じ工場で同じように作ってもノーブランドのタグをつけるか高級ブランドのタグをつけるかで市場価格は全く違います。勿論モノの品質自体は同じです。そのタグがついていることにブランドとしての付加価値が発生するからです。

 ま、OEMとかファクトリーブランドなんてのはアパレル以外もそうですよね。PCのパッケージとリテールの関係も似たようなモンです。質実剛健な人ならどっちを買うかはいわんやおや。とはいえ、判っていてもパッケージの方を買う人も当然います。それはそれで解らなくはないでしょ。

 ファイブスターで云うと、パルスェットがリンザに劣っているなんて本気で思ってるヤツはダメダメです。性能面だけを比較するなら、ファクトリーファティマが必ずしも銘入りに負けるとは言えないですからね。あとはマスターの気質の問題ですよ。質実剛健ミハエル・レスターなのか、「ムーン・カッパー公の作品でござる」とか自慢気に言っちゃうメイユ・スカなのか。まぁ、スカ閣下も憎めないお人なんですが。

 解り易い?それとも逆に意味不明?w

 要は逆に、アニヲタ志願の人間に指導すると考えたら、どうすべきか自ずと答えが見えてきますよね。目を皿の様にしてアニメを観るんだ!アニメ雑誌も片っ端から熟読するんだ!半年も続けてりゃ用語だとかどういうアニメが今のトレンドか解るってモンだ!ってことです。

 ファッションの分野にだってやっぱりヲタがいるワケですから、本来はそれなりに奥が深くて面白いジャンル。ただ、アニメなんかの美的感覚とは少々観点が違うという。ホント、些細なコトなんですけどね。

 ファッションは敷居が高いなんて偏見・迷信。服ヲタとか、そういう特別なレヴェルまで行くんじゃなけりゃ舐めきっちゃっていいんです。但し、貴方が培ってきたヲタとしてのキャリア・センスが試されます。ヲタ的考察でファッションを解剖してやるぐらいの心意気で取り組んだ結果、それでも「ダサい」と言われたならば、元々ヲタとして中途半端だったというコトなんですよ、きっと(笑)