“暴動”と書いて“アバレ”と読む

梶芽衣子

 代休にて午後起床。滞っていたDVD鑑賞。明日から出張で糞忙しいので明日用に感想文でも書いておこうと思った次第。しかし、夕食後から頭痛が悪化したので、もう寝る。感想文、ストックにならず(笑)


〜女囚701号 さそり〜
 昨今、奇しくも本国日本ではなく、海外での評価(特に「KILL BILL」効果だらう)が高まっている女優がいる。今を遡ること三十三年。漆黒のロングヘアを靡かせた彼女は、まさに(逆説的に)“現代の”ジャパニーズ・クール&ビューティ!激イカしてます、梶芽衣子様。

 今日のブログは、彼女に対し“ヴァーナル化粧品のCM(ヴァーナル・ビューティートーク)のおばさん”程度の認識のない者への戒めだッ!心して読め。

 愛した男(夏八木勲氏演じる麻薬捜査官の杉見)のため、暴力団への囮捜査(杉見の個人的な行動だと思う)に協力した松島ナミ(梶芽衣子)。婦女暴行を受けつつも任務を果たしたナミではあったが、後に杉見が、検挙した暴力団と対立していた別の暴力団と結託していたことを知る。つまり、杉見は大手柄を挙げたことで警察内の出世コースに乗り(袖の下も貰っていた)、杉見と結託していた組はシャブの売買を拡大する。

 しかしナミにとって最も衝撃だったのは、杉見は囮用の女として自分を利用しただけであり、そこに愛など介在していなかったという事実。白昼の警視庁前で杉見を刺そうとして、彼女は殺人未遂の現行犯として逮捕される。彼女は、杉見が他の暴力団と癒着があったことを知りながら、裁判では一切証言せず、刑務所に入所していったのだ。杉見に未練があったからではない。いつか脱獄し、自分の手で杉見に復讐するために。

 こうしたナミのバックボーンが、作中で多少の斬新さを伴った手法で挿入されるのだが、かといって強引さや説明くどさもない。そこにまず感心。

 刑務官や対立する女囚(一方的に因縁をつけてくる)等、力で捻じ伏せようとする者たちに向ける凛とした眼差しが素敵すぎ。科白は愕く程少ないが、それ以上に“眼”の演技が頗る雄弁故、忽ちの内に圧倒されてしまう。

 そんな中、杉見の差し金により、ナミを事故死にみせかけて殺そうとした女囚の片桐。企みがバレたうえに、ナミを火あぶりにしようと撒いた灯油が、己に引火してしまう。焔に包まれつつも片桐はナミに助けを乞う。
「アタシはただ、アイツの口車に乗っただけなんだ!」
しかし、ナミは押し殺すような一言で一蹴する。
「騙されるのが・・・女の罪なんだ」
・・・もう滅茶苦茶シヴぃ。

 余談だが、片桐ら一派に、脱獄を企てているという濡れ衣を着せられかけたところをナミによって助けられた進藤梨恵。今度は彼女がナミの脱獄の手助けをしたりと、かなりいいヤツ。

 そんな新藤を演じるのは、本作が東映作品には初出演となる扇ひろ子さん。実は、かつて扇さんが撮影中に失踪した作品「怪談昇り竜」で代役を務めたのが梶さんだったりするワケで。こう言うトコまで知ってると更に楽しめるコト必至。

 んで、脱獄に成功したナミは、杉見と結託していた組の幹部や組長に復讐。ここは意外とあっさり進むので、意外といえば意外。んで、ラストに杉見に復讐。とはいえ対杉見の部分もそんなに長いワケではない。

 昨今の映画であれば、幹部や組長を中ボス、杉見をラスボス的に捉え、復讐シーンの積み重ねで作品を構成しようとするだろう。刑務所シーンも中弛みなく構成されていたので、脱獄までで1本。脱獄後から復讐完了まででもう1本と、2部作にできたとも大いに考えられる。あ、コレってちょっとしたKILL BILLだな。

 クエンティン・タランティーノという人について。映画監督としては精々一流程度だと思っている。但し、リメイクだとかオマージュの才能は超一流。彼としたらリメイクやオマージュをしている筈が、第三者的にはオリジナルにみえているダケなのでは・・・なんて穿った見方すらしてしまう私。KILL BILLでは「修羅雪姫」での梶さんの歌が使われていた。来日したタランティーノ監督が梶さんの手を終始握りっぱなしだったのを今でもよく覚えている。

女囚701号 さそり [VHS]

女囚701号 さそり [VHS]

梶芽衣子全曲集

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