徒歩より詣でけり

『電話 Ⅱ』/タマラ・ド・レンピッカ

 起きたら正午、京成上野駅。あてもなく電車に乗ったはいいが爆睡してたらしい。折り返し運行し出す直前に降車。

 さてどうしよう、と思ったが取り敢えず適当に歩く。上野公園をぷらぷら。美術館とかってキャラじゃないことは分かってる。でも何となく「アール・デコ展」に引き寄せられ東京都美術館。いや、アール・デコって言ってもR田中一郎の妹、R-29号(R高峰秀子)じゃないですから。

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 なるほど「曲線的な“アール・ヌーヴォー”に対する幾何学的な“アール・デコ”、といった単純な様式概念にとどまらないアール・デコの多様な特質を、その影響源から始めて、開花、そして世界への広がりに至るまで、絵画、彫刻、建築、インテリア、ジュエリー、ファッション、大衆文化を含めた広範な視野で紹介。ルネ・ラリックのガラス作品、カルティエのジュエリー、シャネルのドレス、タマラ・ド・レンピッカの《電話Ⅱ》といった油彩画など....。まさに“アール・デコ展”の集大成といえる展覧会」って感じでした。アール・デコってのは美術様式の名称だから、1人の画家や作家の作品をダラダラと見せられるのと違って飽きがこなくていい感じ。

 予備知識らしいものがない状態で観たけど結構楽しめました。大雑把だけど、源流であることろの古代エジプト美術から紹介してくれてたのでその一角はちょっとしたエジプト秘宝展みたいになってたし。

 気に入らなかったのは俺の前にいたカップル。なんで男はこういうところ来てまで薀蓄垂れるんでしょうねぇ。薀蓄持ってるレヴェルなら敢えて観なくてもよかろうに。

 そういや昔、友人が水族館に行こうというので行ったのですが、カップルばっかでヤでしたね。友人は”本当っぽいけど実際は出鱈目”な薀蓄を言い出しました。んで、眼で「オマエも言え」といってます。仕方ないので2人はエセ魚ヲタを装うことに。

「この独特なフォルムは、古代人の畏敬の念に訴えるものがあったようだね」
「そうだね、特にモンゴルあたりでは”神の遣い”とさえ言われていたんだってねぇ」


 なんでこんな遊びを?って思っていたのですが、すぐに意図が解りました。近くにいたカップルの男の方に辛うじて聞こえるくらいの小声だったので、そいつが彼女に向かって俺らの出鱈目薀蓄を披露し出したのです。ヴァカだなぁ、コレ深海魚じゃんよ。モンゴルにそういう海ねぇし(笑)なんか、こういう思い出ばっかですね。


 さて、思いっきり釘付けになったのはアンリ・マティスの「ナイチンゲール追悼のための衣装(名前うろ覚え)」。基本的には画家で舞台衣装とかもやっちゃう人なんだけど、フロアの一番奥に展示してあった衣装が私に呼びかけてきてましてね。視て一言。
「うわ、東方第一幻像軍団(First East Mirage Core)!」
いや、マジそういう雰囲気の衣装。カッチョイイ。この人の本業の絵とかちっともいいと思わないのに(笑)

F.S.S.DESIGNS 1 EASTER;A.K.D.

F.S.S.DESIGNS 1 EASTER;A.K.D.

 あと、昔のココ・シャネルデザインのイヴニングドレスとかみてもシャーリー(シャーリー・ランダース・クレイテン・シュバンツ)が着てそうとか自分の中のFSSネタ全開。あと、よく鑑定団で高額になったりするような焼き物の人形とかもありましたし、そうかと思ったらミートスライサー(お肉屋さんにある機械ですよ)とかラジオがあったり。

 いや、別に有名な人がデザインしたとかっていうんじゃないんですよ。当時の流行のデザインだったって意味でね。そういう、「これが芸術だ有難く見やがれオラオラオラァ〜!」みたいな感じじゃないところが凄ぇ好感持てる。

 展示物の中に屏風がありました。でもこれって日本人がアール・デコを採り入れて作ったんじゃなくて、西洋人がそういう解釈して持って帰ったってダケじゃん。とか気づいたら逆に色々と頭が回転し出した。

 人形のディティールや宝飾品のモールド1つとっても、ハッキリ言って、ガレキ関係の有名原型師のレジンキャストとかの作品には敵わないですよ。やはり国を挙げて外貨獲得のためにヲタビジネスを世界にアピールしていかないと。なんて、結局自分のフィールドに脳内変換して勝手に楽しんでました。

 最後の方に展示されてた絵はタッチがモロに荒木飛呂彦先生風(ってか逆なんだろうけど)。う〜ん、こんなことろにまで影響を与えているとは、侮り難し、アール・デコ。あと、フランク・ロイド・ライトのインテリア関係はちょっと欲しいかな。


 美術館を出たらもう13時を廻っていました。よし、連休中はちょっと痩せてみるか、ということでそのまま昼食を摂らずに渋谷へ。最近恒例の若者の街散策であります。渋谷駅から原宿へ。今日は、前回二の足を踏んでしまった竹下通り下り。物凄い人(殆ど若造。時期的にも多分田舎者だらけ)だなと萎えつつも腹をくくって坂を下る。

 ゴスロリヴスとか勘違いパンクロッカーとかセンスレスなTシャツを売ってる店とかを視界に入れつつ歩く。あぁ、もぉヤだ。早くここから脱出したい。いやいや、これは修行なのだ。ここを通過できたら一回り成長している自分になっていることだろう。なんて、気分は迷作「少林寺への道(原題:少林寺十八銅人)」。

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 まぁ、無事(当たり前)抜けてそのまま歩いてたら表参道まで来ちゃって(アニヴェルセルを発見して気づいたw)ました。わ〜お。ぼ〜っとしてたので更にテクテク。気づいたら“南青山六丁目”ってどこだよ。適当に引き返す途中でプラダの青山店があったので裏に廻ったらエイプのショップがありました、でもエイプは興味ないのでスルー。

 微妙に元来た道じゃない道を通ってなんとか渋谷まで戻ってきた。もう流石に足が痛い。でも何故かまたそこから違う方向へ。宮益坂を上ってダラダラ歩いた先はまたしても表参道(!)

渋谷→原宿→南青山→渋谷→表参道

 よく歩いたなぁってコトで今日も何も買わずに帰宅。途中、船橋で一寸早い夕飯。まぁ、いつものラーメン屋ですが。ここでラーメンとギョーザ食った帰りにアイスも食べちゃったので減量になってないかも知れないなぁ。。。