えっ、広島東洋カープの!?

小西真奈美

 実家滞在2日目。昼間は特にすることもないので映画でも観に行くことにした。驚いたのは、わざわざ福井市内まで出なくてもいいという事実。シネコンなんていつの間に出来ていたんだろう。

 妹が買い物に行くと言うのでついでに乗せて貰う。免許とりたてだそうで、殆ど運転なんぞしないままゴールドカードになっていた私と同レヴェルにあやしい運転だ。

 勿論、鑑賞するはシュレック2・・・じゃなくてスチームボーイ。個人的に期待していたので、以前「イノセンス」を観た錦糸町の映画館並に小さいなぁとか、平日昼間とはいえ客5人かよとか、あまり気にならなかった(嘘)。

 中央の席を陣取り上映を待つ。毎度のことながら予告がウザい。実写版ハットリくんは分かったからもう勘弁して下さい。なんて思ってたらハウルの動く城。アントンの元嫁の姉とか、もののけ師匠こと丸山(美輪)明宏はいいとして、キムタクってなんだよと。マジにそのキャスティングはどうなのって思った。やっぱジブリ最大の汚点は日テレと組んでいることだろう。

 かくしてスチームボーイ鑑賞。ここ最近で1番楽しめたスパイダーマン2よりもよかった。MEMORIESの中の「大砲の街」を更に膨らませた企画が本作だと訊いていたが、巨大な1枚絵の背景とか蒸気の(アニメ的)リアリティーとか、基本的には「大砲の街」の頃のCG技術では表現しきれなかった部分のリベンジを念頭に置きつつ、単なる実験アニメになってしまわぬように、冒険活劇の王道的ストーリーでグイグイ引っ張るような作りになっている。

 作品がテクノロジーに対して隷属的でないところに好感が持てた。つまり、現在のCG技術でできうる最高峰の表現を観せたいが為に作品中にそういったシーンを入れるような作り方とは対照的で、こういう表現をしたいが為に、CG技術の進歩を「待ってきた」のでは・・・なんて勘ぐってしまうシーンも多数。だって制作期間ハンパないもんねぇ。

 パクリとか元ネタという言い方はしたくない。私としては大友作品(含プロデュース作品)の集大成だと思う。スプリガンで開発したカメラワーク、ロボットカーニバルでの移動式巨大要塞と遊園地の発想・・・。知らなくても全く支障のないことだが、知ってる人は思わずニンマリする部分だろう。

 上記の宮崎作品もそうだが、大友作品でも少なからず本業じゃない俳優を声優として起用することが多い。今回の収穫は何と言ってもスカーレット役の小西真奈美だろう。鈴木杏のレイ役については「リターナー」の時のボーイッシュな役柄の延長で想像できていた(し、やはり思った通りだった)のだが、小西嬢に関してはドラマやCMのイメージも殆ど持ち合わせていないのだった。

 果たして、スカーレットお嬢様はほぼ完璧に演じられていたと言えるだろう。今迄聴いた小西嬢の声とはかなり違っていた。以前TBSの番組に番宣で出た際に「14歳の声になるよう、苦労した」みたいなことを言っていたが、確かに(アニメ作品のキャラクターとしての)14歳の声として聴いて違和感がないし、スカーレットのキャラクター性に負けない個性を放っていたと思う。

 余談だが、作品中唯一のギャグシーン(脚本の妙で意図的に笑いを誘うシーンは他にもあるんだが)を演じているのはスカーレットお嬢様だけ。閉まりかけたエレベーターをこじ開けて入ってくるシーンは必見。ゴリラーマンの姉ちゃん以上ですよ、この人(わかるかな〜)。

 他にも、キャスティングに応じてデザインを決定したかのようなキャラクターが多くてなかなか面白かった。寺島進斉藤暁なんて出てきて科白を言った瞬間にすぐ判ったし(笑)

 ストーリーの単純・複雑というのは作品の評価とは全く関係ないことだ思う。単純なストーリーながら細かいディティールと人物描写がキッチリ為されている作品と、複雑なだけのストーリーで誰が誰なのかサッパリ見えてこない作品とどっちが観たいですか?


次の鑑賞予定作品:マッハ
上記のリクツ以外に、単純にすげぇアクションを観てみたいって鑑賞欲もありましたわ。トニー・ジャーに期待大。