代役はいない

 手書きブログをはじめ、オリジナリティーと確かな品格とが交錯する文章で楽しませて下さっているid:matsukawa71氏から昨日のブログにコメントを賜る。氏のようなコメント返しができない。

 これ(コメント)だけで充分本文になっちゃうじゃん(!)って感じで御自身のブログのコメントをされる氏(単に律儀だとかそういう低次元の姿勢ではない)のようにはできない。何故ならボクは貧乏性なのだよ。

 そんなワケで『太陽の牙 ダグラム』な話。ボクが好きなのはナンといってもヘルムート・J・ラコック。狡猾で野心家で・・・オレに足りないものを全部持ってるところが羨ましい。・・・なんて言いつつ、一方でジャッキー・ザルツェフやレーク・ボイドなんて知将を超えた人格者の類にも憧れる、強欲なボク。

 それにしても、id:matsukawa71氏のリタ派発言には少なからず唸らされた。ランバ・ラル言うところの、いい眼をしているな・・・である。

 この、リタ・ベレットというキャラクターは何気に重要である。高橋監督作品だから気づかない人もいそうなものだが、もし仮にダグラムを富野さんが監督したならば、ほぼ間違いなく声優に川村万梨阿さんを起用するであろう、と小官は愚考する次第である。

 富野監督といえば、『無敵超人 ザンボット3』や『伝説巨人 イデオン』に代表されるような、ラストあたりで主要キャラが殆ど死に絶える作風の印象により、“皆殺しの富野”などという二つ名で呼ばれることも多い。個人的には正直そういうふうには捉えていなかったので、その呼称は些か驚きをもって私の鼓膜を振動させたものだ。

 ボクとしては、『聖戦士 ダンバイン』以降の富野作品に於ける、顕著な傾向として川村万梨阿という声優の起用が最も印象深い。前述のダンバインではチャム・ファウ、『重戦機ヘビーメタルエルガイム』ではガウ・ハ・レッシィ(リリス・ファウと二役)、『機動戦士Ζガンダム』ではベルトーチカ・イルマ、そして劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でのクェス・パラヤと、かなりエモーショナルな女性キャラクターを彼女に演じさせているし、実際彼女以外の人選では富野監督の期待に応えられなかっただろうとすら思われる、所謂ハマリ役である。因みに『ブレンパワード』他の作品については観てないので言及は避けさせて戴きます。

 単にギャーギャー小五月蠅いだけの小娘キャラであれば彼女でなくてもいいだろう。しかし、表層的にはそうでありつつも、その内面に潜むナイーヴさ迄きちんと表現することが出来なければならないとなると、自ずと人選は限られる。

 勿論、限られるとはいえ、それなりのクオリティで演じることができそうな女性声優は他にも何人かは存在するだろうが、そこから先はもう監督の作風との相性の問題になってくる。

 そうなってしまうと、もはや川村万梨阿さん以外は考えられない、としか言えない。彼女の演じるキャラクターは、悉く物語の中盤からラストを内側から攪拌するのだ、主人公を超えて。

 ボクは敬意を込めて、また富野監督に倣って“引っ掻き回しの川村”と密かに呼んでいる。

 そんな、富野監督にとっての声優としての懐刀だった彼女と、同じくメカデザイナーキャラクターデザイナー兼アニメーターとしての懐刀であった永野護先生が結ばれた(当然ながら仲人は富野夫妻)というのもなかなか面白い。

 翻って話をダグラムに戻す。こうした起用の好例は、何も富野監督だけの専売特許ではない。高橋監督の場合もやはり“こうしたキャラクターにはこの声優”的なものがあるのだと思う。

 ダグラムのリタ・ベレットも『装甲騎兵 ボトムズ』のココナも、演じているのは川浪葉子さんである。で、やっぱりこの人の声じゃないとな〜って思えるんですよね。


 ってココ迄書いて、またVAIO type Uが落ちた。再起動が出来ない病(OSが見つかりませんというメッセージ)。暫し休ませた後、恐る恐る電源入れたら起動成功。ワードに下書き残ってて良かった。ってかマジ寿命近いのかなぁ。。。