大友康平じゃなくてさ

SAMURAI 7』第二十二話「ひっぱたく!」迄一気に鑑賞。高橋良輔氏が演出協力として参加されていたのに気づいていたら、もっと早くに観てたんだけどなぁ。演出協力としての高橋氏の参加作品は『こどものおもちゃ』以来かな(オレが観た作品では、という意味です)。

 思えば、この作品がTVで放送されることを知った時、黒澤監督の『七人の侍』を“設定変えてアニメでやっただけ程度”なんだろうなぁと思い込んでしまったので、リアルタイムでは全く観ることがなかったのは些か不幸なことだったと今更ながら後悔している。

 ネット上の匿名論評の中には、“原作への冒涜である”とか“何故オリジナルでなくこの原作で作ったのか”的な主張も多い。まぁ、原作原理主義者というのはいつもそういうコトを言うものだからな。

 Wikipediaに、“本作は黒澤明監督作品『七人の侍』(1954年公開)から50周年を記念して制作された”と記してあったが、これが全てだ。つまり、『七人の侍』の50周年記念で作品を制作することが根幹にあるワケです。

 兎に角、偉大過ぎる作品を“原作として”ナンか作んなきゃいけないってなった時、貴方ならどうしますか?現在の役者に置き換えて実写で撮る・・・なんてコトの方がよっぽど冒涜だと思いますけどね、並みの名作ならばそれでもいいのでしょうが。

 なにがしかのリメイクをやらねばならぬ場合、原作が比類無き名作であれば、同じ土俵に上がらないことを正攻法と捉えることも不思議はないと思う。

 であれば、フルデジタル・アニメーション且つハイビジョン・フォーマット更に5.1chドルビー・サラウンドという、作品の枠組みとしての凄さは従来のTVアニメの域を充分に凌駕している。そして、それを“或る意味で贅沢な作品”で終わらせぬよう、豪華なスタッフ陣が揃えられたのだ。

 今の時代、黒澤作品と同じように世界標準で戦える可能性を見出すならば、やはり実写よりアニメに一日の長があると考える方が寧ろ自然ではないだろうか。

 キャラも各々よく立っており・・・というかそこは原作の匂いを残し気味にしているので当然とも言える。それにしても、キクチヨ(菊千代)がメカ侍(改造手術を受けて機械の体になったんだそうで・・・999かよw)という設定なので、原作での性格をより一層カリカチュアライズさせ易くし、文字通りキーマン(というかトラブルメーカー)としての役割を十二分に果たしていると感じた。

 このように、設定を差し替えただけで済まさず、更にストーリーが違っていくところ(コレはネタバレになるんで書けない)もまたよし。ひとつだけ残念なのは、刀と銃の使用上の棲み分けがはっきりできていないところ。実に惜しい。因みに、永野護先生は『F.S.S.』でこの問題をしっかりクリアしている。

とはいえ、今日中に最後まで観れないのことを未練と思うには充分な作品である。どうでもいいけど小林誠さんのメカが3Dでグリグリ動く様は壮観なんだけど、どう視ても○ウンドドッグなメカが出てきた時は唖然としてしまったモンです(笑)