竹中直人の声が珍しくハマった例

　オッス！オラ、ゴクウ！って寺沢武一かよ。さっきまで四日市に居ました。日付変わる前に帰ってこれました。

　誰に向けて発信されているのか判らない信号ってあるよね。でもそれが何なのか判ると妙に嬉しかったりするモンで。帰宅したら「Ｑさま」って番組やってた。プレゼン型クイズバラエティだそうで。内容は置いといて、冒頭で青木さやかがヘンな構えで
「ベルリンの赤い雨〜〜〜っ！」
って言ってました。何故にブロッケンJr？
また、CMに入ったら日産かなんかの車のCMで、見覚えのある男が。あ〜、この人どっかで・・・庵野秀明！

　まさか庵野監督が実写でCMでるようになるなんてねぇ。。。んで、風呂から出てきたら日付変わって三十路に突入してました、私。誕生日だってのに明日も仕事か。今日はじっくりブログ書いてる時間もないんでストック分使わせてもらいますね。丁度昨日は後藤さんネタ使ったことだし。

　折に触れて何度となく観返すモノがある。私にとって「機動警察パトレイバー２ the Movie」とは、そんな作品だ。

　横浜ベイブリッジに打ち込まれた、たった1発のミサイルから始まった悪夢。管制施設へのクラッキングによる自衛隊機同士の幻の撃墜劇をはじめ、自衛隊の治安出動等、恐ろしく正確で周到な情報操作により“演出”された戦時下の東京を舞台に、乖離してしまった戦争と平和の本来の同一性を喚起させる珠玉の一作、だと思う。

　1993年公開の本作は、当時の近未来であった2002年をバビロンプロジェクト等の都市開発的見地をはじめ、終盤で犯人グループの一部を逮捕する際の罪状が、当時まだ一般的には無名に等しかった破壊活動防止法だったり(オウム事件は1997年)と、現実以上の先見性(携帯電話の驚異的な普及まで見越せていたら完璧だったろう)で描いている。

　ベイブリッジ爆撃後、マスコミを通じて発表された映像に情報操作の疑いがある証拠を示唆するヴィデオテープを持参して二課に現れた、自衛隊陸幕調査部別室の荒川という男。彼と後藤警部補との遣り取りこそがこの作品の肝。

　荒川が運転する車内、彼が唱える情報操作の真実について後藤警部補は、持参したテープそれ自体にも証拠能力がないことを論拠とし、半ば強引で逆説的な理論でしかないと論破してみせる。或る種の模範的警察官としての回答だ。が、寧ろ荒川は嬉々としてこう言う。

「後藤さん。あんたはやっぱり噂通りの人だ。私の人選は間違っちゃいなかったよ。だが、二本のテープが二本とも虚構だったとして、吹っ飛んだベイブリッジだけは紛れもない現実だ。違うか？」

　この瞬間、後藤さんの表情が豹変する。後藤警部補から後藤隊長…つまり、この時点で後藤さんは警察官から正義の味方になったのだ。これは、終盤で荒川に対して後藤隊長が言う、

「まともでない役人には２種類の人間しかいないんだ。悪党か正義の味方だ」

　という科白からも想像に難くない、と思う。だからこそ、緊急連絡を受けた荒川が車を強引な運転に切り替えた時にこう言うのである。

「おい！仮にも現役の警察官２名(もう1人は南雲さん)を乗せてるんだからさ！」

　既に後藤さんが警察官から正義の味方モードに移行していることを逆説的に強調させていたのだが、恥ずかしい話、私は初見でこの科白の真意が理解できなかった。また、本作での後藤さんの代表的な科白というと、

「戦線から遠退くと楽観主義が現実に取って代る。そして最高意志決定の場では、現実なるものはしばしば存在しない。戦争に負けている時は特にそうだ」

　というのがあるが、これに対するアンサー科白こそ言わんやおや「踊る大走査線」青島刑事の「事件は会議室で起こってるんじゃない、現場で起こってるんだ！」である。「踊る〜」の本広監督がパトレイバー(というか押井守)ファンだということで、当時某誌で対談やっちゃったくらいだから間違いない筈。

　最後に、個人的に好きな後藤科白を。
「そりゃまあ不平や不満はあるでしょうけど、今この国で反乱を起こさなきゃならんような理由が例え一部であれ自衛隊の中にあると思いますか？ しかもこれだけの行動を起こしておきながら中枢の占拠も政治的要求もなし。そんなクーデターがあるもんですか。政治的要求が出ないのは、そんなものが元々存在しないからだ。情報を中断し混乱させる。それが手段ではなく、目的だったんですよ。これはクーデターを偽装したテロに過ぎない。それもある種の思想を実現するための確信犯の犯行だ。戦争状況を作り出すこと。いや、首都を舞台に戦争という時間を演出すること。犯人の狙いはこの一点にある。犯人を捜し出して逮捕する以外に、この状況を終わらせる方法はない」

　やっぱこんな脚本書けちゃう伊藤和典いたうくん氏は天才だなーって思うのですよ。押井守監督以上にね。

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